ＮＨＫマイルＣの前哨戦として行われたトライアルレースで、２歳王者を倒して重賞初制覇を飾った。ＮＨＫマイルＣで最有力候補と目されているアドマイヤマーズが1.7倍の支持を集めていたが、１勝馬ながら２番人気に推されたイミグラントソングが末脚一閃で本番の優先出走権を奪取するとともに有力馬に名乗りを挙げた。デビューから４戦１勝に留まっていたが、近３走は上り最速を連発しておりポテンシャルの高さを示していた。今回は２歳王者以外は手薄なメンバーではあったが、素晴らしいパフォーマンスを見せている。13番枠からのスタートで道中はリズム重視で後方に待機。前半流れたことで縦長の隊列となったが鞍上は末脚を信じ動じないレース運びで直線に懸けていた。３コーナー過ぎに軽く促されると大外を馬なりで上昇し、４コーナーで外に振られたがスパートを開始すると先に抜け出したアドマイヤマーズ目掛けて一完歩ごとに差を詰め、ゴール手前の叩き合いを制してクビ差前に出て勝利を飾った。ラスト３Ｆが11.9-11.2-11.6秒とラップの速い区間で大外に振られ差を広げられながら、２歳王者を外から差し切った内容は評価できる。過去４走は全てマイル戦を使われ、中山・東京コースで自在な脚質を武器に好パフォーマンスを続けていたが、今回のキレ味ある走りから東京コースでさらにパフォーマンスを上げてきそうだ。世代マイル路線はハイレベルな戦いが予測されるが、ＧⅠの大舞台でも有力馬の１頭に浮上したのは確かである。

格上挑戦馬の激走でハナ差の２着に惜敗したが、前走に続くハイパフォーマンスで牝馬マイル路線トップクラスの走りを見せている。デビューから【６･２･１･２】の戦績を残し着外２回も４・５着と掲示板を外さない堅実な走りを続けてきた。夏の北海道・クイーンＳでは重賞初挑戦ながらアタマ＋クビの３着に好走し、重賞でも通用するポテンシャルを示すとリステッド勝利後に挑戦したターコイズＳを差し切って重賞初制覇を飾っていた。今回は休み明けでの相手強化戦となり、主戦の西村淳騎手の負傷により急遽の鞍上変更と不安要素が存在していた。最内枠から好位を確保し道中はじっくりと脚を温存。直線は先行馬が横に広がり十分なスペースが確保できなかったが、馬群を割って末脚を伸ばし先に抜け出していた勝ち馬を猛追。ゴールでは首の上げ下げで劣ったが勝ちに等しい２着と重賞連覇は逃したが、舞台の異なる重賞で連続してハイパフォーマンスを見せている。ラスト３Ｆ11.2-10.8-11.4秒と先行した勝ち馬に有利な流れとなったが、操縦性の高さと馬群を割れる決め脚はＧⅠの舞台でもと思わわせた。賞金を加算出来たのは大きな収穫で、参戦は未定で東京コースは未経験も、高速馬場なら大舞台ヴィクトリアМでも上位争いに期待できそうだ。舞台を問わない安定感は素晴らしく、今後重賞のタイトルを積み重ねていく可能性は高い。

上位３頭には離されてしまったが、９番人気の低評価を覆し４着に善戦した。新潟のデビュー戦を先行馬が残る展開ながら後方一気で差し切り、２戦目のアルテミスＳは７着ながら0.5秒差と素質の片鱗は十分に見せていた。３戦目の赤松賞は高速上りで完勝しクイーンＣでは早仕掛けからエンブロイダリーを負かしに行くもラスト伸びを欠いて２着に敗れたが、坂上から外にヨレるなどまだ若さの残る走りであった。今回は関西初遠征ながら絶好の穴馬として期待を寄せていた。スタートでやや後手を踏んで後方追走となり、内枠も災いして馬場が荒れ始めた内を終始通らされてしまう。折り合いも欠き気味で鞍上が抑えるのに苦労していたが、直線は外に持ち出す馬が多いなか最内からジリジリ脚を伸ばし４着に健闘している。デビューから手綱を取る田辺騎手も「この馬の成長には驚かされた。今後どこかで逆転できるチャンスがある」と伸びしろは大きそうで、ポテンシャルが開花されれば世代トップクラスに並べる力を秘めている。母・フィルムフランセはダートで４勝をマークし、父・マインドユアビスケッツは芝好走馬も輩出するがバリバリの米国短距離ダート馬であり、馬格や骨格からもダートで向きの印象が強い。高速馬場の芝でも重賞級の走りを見せており、活躍の場は広そうで今後世代を代表する牝馬になる可能性を秘めている。今後の動向に大注目したい１頭だ。